【令和の資産運用】日本人は円を売れ!(その3)

投資

※この記事は筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資のリターンを約束するものではありません。あくまで投資はご自身の判断に基づいて自己責任で行ってください。

前回は、

  • 日本ではデフレが続く
  • デフレでも円高が続かない

ということを導き出した。今回はこれを受けて、日本人はどのような資産運用を考えなければいけないかを考える。

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日本しか選択肢がなくて大丈夫か?

資産運用を考える前に、今後の生き方について考える必要がある。資産運用の目的(人生の目的)によって最適な方法は変わるからだ。

あなたは、そしてあなたの家族(子供)はこれから先も日本でずっと過ごしていくのだろうか。日本の治安などの状況がこの先数十年で急激に悪化する可能性は低いように思える。その意味で、日本でずっと過ごすというのは悪い選択肢ではないだろう。

だが、過ごすために日本で十分なお金を稼ぐことができるのだろうか。お金を稼ぐことはできるだろう。人間の仕事自体がすべて奪われてしまうということはおそらくない。ただ、稼げる仕事と稼げない仕事の二極化はさらに進むと考えられる。

少し古いサンプルになるが、マサチューセッツ工科大学の調査データを見てみよう。

下記は、1993年から2006年にかけて、仕事がどの程度増減しているかを調べたデータだ。各国ごとに3つの棒グラフが立っている。濃い緑色が賃金が高い仕事(上位3分の1)。濃い青色が賃金が低い仕事(下位3分の1)。黄緑色が真ん中だ。ここに日本のデータはないが、先進国ではおおむね

賃金の高い仕事と低い仕事だけが伸びており、中間は減っている

ということがわかるはずだ。

Source: The Polarization of Job Opportunities in the U.S. Labor Market

この傾向はこの先も続くだろう。パソコン・インターネットが急速に普及した上記データの調査機関と比べ、今後の社会ではAIやロボットなどの活用が進むといわれている。傾向が続くだけではなく加速する可能性もある。

その時、あなたは、あなたの家族(子供)はどちらの職業を生業にしたいだろうか。いうまでもなく「賃金の高い仕事」だ。では「賃金の高い仕事」はどのような仕事だろうか。上記で紹介したマサチューセッツ工科大学のレポートでも言及されているが、それは「高スキルを必要とされる仕事」だ。

つまり、将来「賃金の高い仕事」を生業としたければ、「高スキル」を身につけられるよう今から計画を立てておく必要があるということだ。

高スキルを身につけるために

では「高スキル」をどのようにして身につけるか(ここでは「高スキル」が何であるかについては言及しない)。もっとも確実で万人に応用できる手段は「教育の充実」だろう。これについて異論のある人はほとんどいないと思う。

では「教育を充実」させるにはどうすればよいのだろうか。塾に行き、東大に入る?悪くないかもしれないが、日本でのビジネスが人口減少によって縮小していく中では、日本の中の仕事としても求められるのは国内向けの仕事ではなく、海外向けのグローバルなものになるだろう。東大でそれが本当に手に入るのだろうか。

なぜ必死に英語教育の重要性が昨今叫ばれているのか。政府の施策だけで国民が動くほど人間はバカではない。現代を生きる日本人は本能的に、将来求められる技能がなんであるか感じ始めているのだ。もちろん、英語だけでは不十分だが、英語も含めたグローバルな感覚を備えることが今後を生き抜く第一歩だと考える。

語学だけではなく、グローバルな感覚も含めて身につけるには、海外特に米国の大学で教育を受けられるのがベストだ。世界中から人材を集め、大学のキャンパス自体が世界の縮図になるよう運営されている米国のトップ大学の質は日本とは比較にならないほど高い。子供がいるのであれば、将来、世界トップレベルの大学で学ぶことができるように少なくとも準備をしておいてあげたいものだ。

世界で学ぶには外貨が必要だ

ここまで考えてやっと、当初の結論に至ることができる。将来に対して日本人が必要としているものは、世界トップレベルの教育を受けることができるという選択肢なのだ。ではその選択肢を取るためには何が必要か。投資の話に戻ると、お金特に円ではない外貨が必要なのだ。

では、ここでこれまで導き出した結論をおさらいしてみよう。

  • 日本ではデフレが続く
  • デフレでも円高は続かない
  • 海外(特に米国)はインフレが続く

お分かりいただけるだろうか。日本人が将来を考えるときには、日本国内のインフレやデフレといった経済傾向だけではなく、海外のことも考えることが必要になってきているのだ。日本ではインフレが起きないと聞いて、円預金をもっていれば大丈夫と考えるのは早計だ。円の日本国内での価値は変わらなくても、円で買うことができる海外のサービスはどんどん値上がりして買えなくなるのだ。

海外から質の高いサービスを購入する必要があると考えているのであれば、今からそれに備えるべきだ。日本人は日本の物価リスクだけを考えるのではなく、海外のインフレをリスクと考え、自らの資産をどのように運用するか考えるべきだ。私の結論は「日本円に偏りすぎている現在の資産状況を是正し、米ドル主体の外貨に切り替え、海外のインフレ率を上回る利回りでの運用を目指す」ということだ。日本人は円を売れ!そして、グローバルな物価動向にもっと注意を払うべきだ。