【データビジネス】英・中・露から脱出を始めたデータセンター

情報資源に国境線 曇るネットの自由(データの世紀) 脱EUで英孤立/中ロにリスク (日本経済新聞)

データ資源が自由に行き交うネット空間に「国境」が引かれ始めた。各国の個人情報保護規制や国際政治の動きを受け、大手IT(情報技術)企業が重要情報の保管場所を変更。欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)で混乱する英国や監視社会化が進む中国からデータを遠ざける。経済圏が分立し、世界のデータ流通が滞る懸念が出ている。

日本経済新聞

日経新聞の報道。ブレグジットでEUと英国の間で規制のずれが生じることによるリスクを回避するため、欧州のデータセンターがアイルランドなどに移っているそうです。中国、ロシアは監視社会化が懸念されてIT企業がデータセンター自体をそこから別の国へ脱出させているとのこと。EUでは一般データ保護規則が施行されましたが、それによる余波がEU離脱(ブレグジット)の可能性のある英国に及んでいる。

記事では、複数のデータ経済圏が出現することによる企業のコスト増が成長の足かせになる可能性を指摘していますが、実質的にこの傾向は避けられないと思います。安倍首相がダボス会議でWTO加盟国によるデータ流通ルールの策定を提案したことが結びでピックアップされていますが、データ経済の主導権を持たない日本の提案がうまく各国をまとめられるとは思えないんですよね。逆に言えばしがらみがない分中立的に話ができるともいえるかもしれませんが、結局それぞれがやりたいようにやって、その結果悪影響が出てきたら折り合うぐらいしかまとまる道筋はないのではないでしょうか。

少なくとも、米国と中国の対立は決定的で、社会に対する考え方が正反対の両国でデータ管理の方針が折り合うとは考えにくいので、米国と中国のデータ経済圏が10年以内に出来上がるのでしょう。相対的に仲間が多い米国の経済圏の方が有利だと思いますが、どうなることやら。欧州も主導権を握ろうと動き始めているところを見ると、国際会計基準(IFRS)のように、結局掛け声だけで何も変わらず各国の基準が乱立、という状況も十分考えられると思います。